文档:平成狸合战 BD/作品解说

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 主页面 平成狸合战 BD 文档 
豚から狸へ
 
 いま、考えても無茶苦茶な話だ。
 宮さんがある日、言い出した。
「豚の次は狸だ!」
 言い出した方も凄いが、受けた方にも感心する。
 しかも、見事な映画になったのだから、事実は小説よりも奇なりだ。当時のことを思い出してみる。まずは宮さんに説明を聞いた。
「俺が自分を主人公に映画を作ったのだから、今度は、それをパクさんにやってもらおう」
 パクさんとは、高畑監督のことである。
 宮さんが、なぜそんなことを言い出したのか、いまだによく分かっていない。それを高畑さんに伝えたとき、当然のことだが、高畑さんは首をひねった。
「どういう意味ですか?」
 準備していた答えがあった。
「古来、日本には狸を題材にした面白い話がたくさんある。これは日本人が映像にすべきだと、高畑さんは力説していましたよね。絶好の機会じゃないですか。やりましょう」
 高畑さんはそういうときに、はい、わかりましたと二つ返事で頷く人では無い。
 そんなことは分かっていた。ぼくとしては、きっかけが欲しかった。きっかけさえあれば、あとは何とかなる。いや、何とかしなきゃいけない。高畑さんなら何とかしてくれる。ぼくはそう信じて、毎日のように高畑宅を訪ねた。
 その後、起きた事件の数々については、別の機会に譲る。
 狸を題材に、高畑さんは空前絶後、架空のドキュメンタリーをモノにした。
 実際に起きた事件だが、山ひとつ崩してそこにベッドタウンを作る。そこに住んでいた狸たちは、それを黙って見過ごしていたのだろうか。そうじゃないだろう。彼らなりに、人間に対して独自の戦いを挑んだに違いない。化学 (ばけがく) の復興というアイデアは、日本の伝統的な狸話を描いてあまりある内容になった。しかも、現代の話として映画としても傑作として蘇ったのである。
 話し始めて半年、それから脚本が出来上がるまでに半年くらい掛かっただろうか。記憶は忘却の彼方へ遠ざかっているが、これだけは言える。繰り返しになるが、高畑さんはどんな企画でも形にしてくれる人、ぼくには、そういう確信があった。
 
2013年5月
スタジオジブリ・プロデューサー  鈴木敏夫
 
(「平成狸合戦ぽんぽこ」のブルーレイディスク発売に向けて書かれたものです。)