文档:平成狸合战 BD/作品解说
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豚から狸へ |
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いま、考えても無茶苦茶な話だ。 宮さんがある日、言い出した。 「豚の次は狸だ!」 言い出した方も凄いが、受けた方にも感心する。 しかも、見事な映画になったのだから、事実は小説よりも奇なりだ。当時のことを思い出してみる。まずは宮さんに説明を聞いた。 「俺が自分を主人公に映画を作ったのだから、今度は、それをパクさんにやってもらおう」 パクさんとは、高畑監督のことである。 宮さんが、なぜそんなことを言い出したのか、いまだによく分かっていない。それを高畑さんに伝えたとき、当然のことだが、高畑さんは首をひねった。 「どういう意味ですか?」 準備していた答えがあった。 「古来、日本には狸を題材にした面白い話がたくさんある。これは日本人が映像にすべきだと、高畑さんは力説していましたよね。絶好の機会じゃないですか。やりましょう」 高畑さんはそういうときに、はい、わかりましたと二つ返事で頷く人では無い。 そんなことは分かっていた。ぼくとしては、きっかけが欲しかった。きっかけさえあれば、あとは何とかなる。いや、何とかしなきゃいけない。高畑さんなら何とかしてくれる。ぼくはそう信じて、毎日のように高畑宅を訪ねた。 その後、起きた事件の数々については、別の機会に譲る。 狸を題材に、高畑さんは空前絶後、架空のドキュメンタリーをモノにした。 実際に起きた事件だが、山ひとつ崩してそこにベッドタウンを作る。そこに住んでいた狸たちは、それを黙って見過ごしていたのだろうか。そうじゃないだろう。彼らなりに、人間に対して独自の戦いを挑んだに違いない。 |
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2013年5月 スタジオジブリ・プロデューサー 鈴木敏夫 |
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(「平成狸合戦ぽんぽこ」のブルーレイディスク発売に向けて書かれたものです。) |
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