文档:Piano Stories Best '88-'08/专辑解说

来自宫崎骏与久石让中文百科
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久石譲 『PIANO STORIES BEST ’88-’08』 に寄せて
写给久石让的《Piano Stories Best '88- '08》
この『Piano Stories Best ’88-’08』に収録された楽曲は、久石が折に触れて発表してきたソロ・アルバム・シリーズ『PIANO STORIES』全4枚の中からセレクションされた楽曲と、ピアノ・ソロとしては今回が初収録となる未発表音源「人生のメリーゴーランド」を加えた構成となっている。1枚目のアルバム『Piano Stories』が発表されたのが1988年だから、今年でちょうど20年。その20年という時間の流れの中で、久石という音楽家が歩んできた「Histories=歴史」つまり「His Story=彼(久石)の物語」が語られてきたのであり、また、彼の音楽に接し続けてきた我々自身の「歴史=物語」が語られてきたわけである。
收录在《Piano Stories Best '88- '08》的曲目是久石让新近发表的个人系列专辑《PIANO STORIES》当中甄选的名曲,以及还没有公开的钢琴独奏作品《人生的旋转木马》。第一张《PIANO STORIES》发表于1988年,距今已整整20年。这20年的岁月变迁,不但讲述了久石让作为音乐家所走过的历程与接触过的故事,同样也展现了我们与音乐接触的点点滴滴。
このアルバムに収録されている楽曲の多くは、これまで久石が手がけてきた映像音楽(映画音楽やCM、テレビ音楽)の代表作を中心に、久石自身がソロ・アルバム用にアレンジし直した=ピアノで語り直したものである。だからといって、これが単なる久石の「映像音楽集」というかというと、実はそうではない。いささか逆説めいた言い方になるが、久石の音楽は映像音楽であって、映像音楽ではないのである。このことを、少し細かく見てみたい。
这张专辑当中的多数作品,是久石让长久以来所倡导的视觉音乐(电影、广告、电视剧音乐)的代表作,其中还加入了为个人钢琴所准备的钢琴元素。所以这也跟我们以往所看到的久石让的专辑不一样。我们既可以把久石让的音乐看成是一种视觉音乐,但又不完全是。这需要我们细细去品味。
宮崎作品での方法論が典型なのだが、久石は具体的な映像を見る前から音楽的構想を組み立てていく作曲家である。誤解を恐れずに書けば、久石は特定の”映像”に音楽を付けているわけではない。「僕の映画音楽の作り方というのは、監督の作りたい世界を根底に置いて、そこからイメージを組み立てていく」という久石の言葉に端的に表れているように、あくまでも久石は映画やテレビ番組の”世界観”に音楽を付けているのである。だからこそ、作品の世界観を出発点として生まれた音楽を、繰り返しアレンジする自由も生まれてくる。
久石让在宫崎骏的作品当中的表现手法,虽然比较典型,但他会在看到具体的动画之前先进行音乐方面的构思。他不是为特定的动画做出相应的音乐。久石让曾经说过:“我做音乐的方式是将导演所要刻画的世界作为根基,在其上面做出具体的印象”,具体解释的话就是他是为电影以及电视作品的世界观进行谱曲。这样一来,他的作品当中就有了更加自由的表现。
久石にとって、映像作品の完成は、即、音楽の完成とはならない。現代音楽の用語を用いれば、久石の映像音楽は常に”ワーク・イン・プログレス”なのである。ソロ・アルバム『PIANO STORIES』のシリーズは、ある映像の世界観をきっかけにして生まれた久石の音楽を「ピアノで語り直した物語」なのだ。
对久石让来说,一部影视作品的完成并不等于音乐的完成。用现代音乐界的术语讲,久石让的视觉音乐要不断地“再加工”。他的个人专辑《PIANO STORIES》就是将影视作品当中的音乐用钢琴来重新表现。
中,钢琴也是能够表现他自己的世界观的乐器。
言うまでもなく、ピアノは作曲家・久石譲のアイデンティティと密接に結びついている、きわめて特権的な楽器である。例えば『風の谷のナウシカ』のメインテーマとして知られる《風の伝説》、すなわち[04]「Fantasia (for NAUSICAÄ)」を聴いてみていただきたい。ここに収められたのはピアノ・ソロ・ヴァージョンによる演奏だが、映画本編のサウンドトラック盤の演奏でも、あるいは映画完成前に作られたイメージアルバムの演奏でも、《風の伝説》の主題は常にピアノで演奏されている。つまり、『ナウシカ』という作品の世界観-主人公ナウシカの凛とした面持ち、彼女の勇気ある姿勢など-の核心(ハート)を音楽で表現する時に、ピアノに自己を託す作曲家であることを意味する。ピアノという楽器は、久石自身の核心(ハート)でもあるのだ。
钢琴与久石让的音乐理念完全一致,可以说是为他量身定做的一件乐器。比如,动画《风之谷》的主题曲《风之传说》就是一个很好的例子。无论在电影原声带,以及之前的预告片当中,《风之传说》的主旋律都是用钢琴来演奏的。对《风之谷》这部作品所要表现的女主人公坚定与充满勇气的气质来说,钢琴的声音是再合适不过了。其实,在久石让的音乐理念当中,钢琴也是能够表现他自己的世界观的乐器。
そのことを非常に象徴的に表した例として、もうひとつ、『ハウルの動く城』のメインテーマである[13]「人生のメリーゴーランド」を挙げてみよう。本編をご覧になったリスナーならご存知だと思うが、『ハウルの動く城』ではほぼ全編にわたり《人生のメリーゴーランド》の主題が繰り返し登場する(スコア全体が一種の変奏曲と言っても過言ではない)。本編の冒頭シーン、《人生のメリーゴーランド》は久石のピアノ・ソロで2回繰り返して演奏されるが、そのシーンの登場人物の会話から、我々観客はハウルが他人の心臓を取ってしまう魔法使いであること、すなわちハウルにとって心臓(ハート)が重要であることを知る。映画の中で最後にピアノ・ソロが登場するのは、ハウルが心臓(ハート)を取り戻す場面であり、そこで演奏される楽曲は本編冒頭の音楽と全く同じである(変奏曲の最後に主題が回帰する手法に似ている)。つまり《人生のメリーゴーランド》が流れる冒頭シーンは、物語的にも音楽的にも”主題提示部”の役割を果たしており、『ハウル』本編で展開される物語と音楽は、この主題を用いた”変奏曲”に他ならない。こうした作曲手法は、バッハやベートーヴェンがピアノ(鍵盤楽器)のために書いた変奏曲の方法論と、実は何ら変わるところがないのだ。さらに『ハウル』全体の音楽を注意深く聴いてみると、《人生のメリーゴーランド》の演奏にピアノが使用される箇所は、ヒロインのソフィーがハウルに抱く恋愛感情を表現した場面に限定されていることがわかる。《人生のメリーゴーランド》は、ピアノという楽器で演奏されることで”愛のテーマ”の役割も果たしているわけだ。ハウルがソフィーの恋愛感情によって心臓(ハート)を取り戻すこと。これこそが『ハウルの動く城』という作品の核心(ハート)的テーマに他ならない。その最も重要なテーマを、久石はピアノという楽器に託していたのである。
我们可以再来举一个例子,《哈尔的移动城堡》的主题曲《人生的旋转木马》。看过的人应该知道,片中不断地重复着这首曲子的主旋律部分。在影片的开头,连续用了两遍钢琴独奏版本的《人生的旋转木马》(进行了变奏处理),从主人公的对话当中我们知道,哈尔是一个可以取人心脏的魔法师,也知道了心脏对于哈尔是多么重要的。而在影片最后,当哈尔找回自己的心脏的时候,《人生的旋转木马》又再次响起。也就是说。开头部分所使用的《人生的旋转木马》起到了一种点出影片所要表现的世界观的作用,在这里钢琴变奏的手法用得恰到好处。这样的作曲方式,与巴赫与贝多芬所著的钢琴变奏方法论如出一辙。另外,如果你注意听《哈尔的移动城堡》当中的音乐,《人生的旋转木马》的钢琴版本都是在用于表现主人公的恋爱情感的时候。钢琴也是很适用于表现恋爱这一主题的。哈尔由于与索菲的恋爱找回了自己的心。这便是这部作品当中所要表现的核心内容。而久石让以钢琴的方式来把它展现了出来。
このような奇跡的な作曲を可能にしたのは、繰り返すまでもないが、ピアノという楽器が、久石のアイデンティティの根幹に関わる核心(ハート)的楽器だからである。そうしたことを頭の片隅に置きながら、この『Piano Stories Best ’88-’08』に耳を傾けていただきたい。久石譲という音楽家の核心(ハート)が、彼のピアノ演奏同様、いささかも曇ることのないタッチで、明確に語られていることに気づくはずだ。
能够创作出这样的作品,也正是因为钢琴这种乐器,是久石让音乐理念的核心所在。当我们理解了这些之后,再来听一听《Piano Stories Best '88- '08》这张专辑。我们就会发现久石让的音乐就像他的钢琴演奏一样,能够使人产生共鸣。
2008年3月 前島秀国
2008年3月 前岛秀国