文档:幽灵公主/解说
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「もののけ姫」解説 |
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いま冒険活劇といえば、アメリカ映画と相場は決まっています。膨大なお金をかけて派手な見せ場を作り、アメリカ人の主人公が活躍する。日本人はただそれを観るだけ。いつからこうなってしまったのか。また、デジタル技術の進歩によって、近年のハリウッド製アクション映画はどんどん見世物化が進んでいます。見せ場のためだけの見せ場。いっときの興奮はあるでしょうが、はたして真の感動は!? 宮崎駿原作・脚本・監督による最新作『もののけ姫』は、こんな状況に敢然と挑む野心作です。『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』など、宮崎作品にも冒険活劇はありました。しかしいずれも無国籍のファンタジーです。『もののけ姫』で宮崎監督が選んだ舞台はなんとこの「日本」。日本を舞台に、果たして冒険活劇は成立するのか。製作費、製作期間ともに従来のスタジオジブリ作品の倍以上をかけた本作は、日本映画界久々の、日本人の手による一大娯楽冒険時代活劇なのです。 |
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魂を揺さぶる波瀾万丈の一大叙事詩 |
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物語は、中世の枠組みが崩壊し、近世へ移行する混沌の時代を舞台に繰り広げられる。この時代、人間が増え、多くの原生林が拓かれたとはいえ、まだ人を寄せつけぬ太古の森があちこちに残っていた。照葉樹と呼ばれる常緑の暗く黒い森では山犬や猪、それに鹿などの獣達が巨大で賢く、人語を解し、聖域を侵す人間を襲い、荒ぶる神々として恐れられていた。 主人公は、大和朝廷との戦いに破れ東北の山里に潜み、そこで何百年も暮らしている、ある一族の王家の血を引く若者アシタ力。彼は、怒りと僧しみによって、タタリ神となってしまった猪神に死の呪いをかけられ、その謎を解くため旅に出る。そして訪れた西の国で、荒ぶる神々と人間達との壮絶な戦いに巷込まれていく。 神々を森から一掃し、そこを民のための豊かな土地に変えたいと考えている、タタラ製鉄集団を率いたエボシ御前。彼女は売られた女達や虐げられた男達を集め、人間中心の社会を作りながら、鉄を打っていた。 それに対し、人間の子でありながら人語を解する山犬に育てられたもののけ姫・サンは、神々とともにタタラ集団と戦っていた。そこでは双方が己が信念を正義だと信じていた。工ボシ御前は人間が生きるために森を拓き、神々は自分達が生きるために森を守ろうとした。どちらの味方につくべきか、迷うアシタカ。さらに、この戦いに不老不死の力が秘められているというシシ神の首を狙う正体不明の坊主ジコ坊たちが絡み、三つ巴の戦いになっていく。 少年と少女は惨劇のなかで出会い、心を通わせるが、山をめぐる戦いは凄惨なものとなり、大殺戮が始まった。ただの野獣と化す荒ぶる神々。サンはタタリ神と化す猪神を鎮めようとし、タタリに呑み込まれてしまう。アシタカは死を賭してサンの救出に向かう。そして、物語は大混乱の中に終局へ向かって突っ走る…。 |
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声の出演は、主人公の少年・アシタカに松田洋治。もののけ姫・サンに石田ゆり子。荒ぶる神々と最も激しく戦うタタラ集団を率いる冷静沈着な女性・エボシ御前に田中裕子。その部下のゴンザに上條恒彦、甲六には西村雅彦。そして老巫女・ヒイさまに森光子。シシ神をねらう正体不明の坊主・ジコ坊には小林薫。大物俳優、個性派俳優が勢揃いです。そして、人語を操り人間と激しい戦いを繰り広げる荒ぶる神々の声を演じるのは、森繁久彌(年齢500歳の猪神・乙事主)、美輪明宏(サンの育ての親である300歳のメス犬神・モロ)と異色の顔合わせが実現しました。 音楽は、宮崎作品にはなくてはならない久石譲。そして「アシタカの心の内を描いた」(宮崎監督談)映画の主題歌"もののけ姫"を、世界的に有名な力ウンターテナー(裏声を使ってテノールより高い音域の声を出す男性歌手)の米良美一が歌います。 |
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日本からのメッセージ |
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ますます混沌の度合いを深めるであろう21世紀に向かって、宮崎監督はこう言います。 「世界全体の問題を解決しようというのではない。荒ぶる神々と人間との戦いにハッピーエンドはあり得ないがらだ。しかし、憎悪と殺戮のさ中にあっても、生きるに値する事はある。素晴らしい出会いや美しいものは存在し得る。」 宮崎監督が持てる情熱のすべてをそそき込んで、最も過激かつ空前のスケールで描き出す感動の一大叙事詩『もののけ姫』。ディズニーによる世界配給が決定している本作は、世界に対する日本からのメッセージでもあります。 構想16年、製作期間3年、直接製作費20億円、史上空前のセル画枚数13万5 千枚。宮崎駿の最新作にして、スタジオジブリ最大の超大作『もののけ姫』がいよいよこの夏、全世界注視の中、その全貌を現します。 |
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