文档:吉卜力日志/2001年9月

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2001年9月
2001年9月
9月1日(土)
 新人制作の清川君、今日より出社。なかなかのさわやか青年だ。

 3スタの美術、作画の引越しを行う。1階は基本的に作画、美術は2階に集まることになる。

 お昼より毎年恒例の防火訓練が行われる。前日に、新宿でビル火災が起こったこともあり、消防署の方の説明も真剣そのもの。でも新人ジブリスタッフが参加した消火器訓練は、消防署の人が気の毒になるくらい気の入っていないものとなる。日ごろから宮崎監督にも「現実感が無い」、といわれているスタッフだけに、なかなか緊張感を出すのは難しかったようだ。

 6時より討ち入り。ワインやチーズ、パスタが並び、開始10分で、出来上がるもの多数。討ち入り終了後も、東小金井駅付近の飲み屋で、深夜まで延々2次会が続いたのであった。
9月3日(月)
 代々木で原画さんに会うため神村、斎藤両氏が車でジブリを出発。原画さんを車に乗せ喫茶店で打ち合わせようと探しまわったのだが、土地柄かどこまでいっても見つからず。結局喫茶店を見つけた頃には車内であらかた話は済んでしまい、5分ほどなごんでお茶を飲むだけで終わってしまった。
9月4日(火)
 美術館に運び出すため、「千と千尋」の動画カットを梱包する。箱は30箱以上用意していたのだがそれでも足りず、会議室はダンボールで埋め尽くされてしまった。それにしてもこれを人間の手で描いたかと思うとすごい。
9月5日(水)
 のびのびになっていた作画部の席がえを朝一で行う。これで空きスペースもはっきりし、スタッフの増員にも対処できる。しかし、毎度の事ながらしばらくは誰がどこの席にいるか迷ってしまうのであった。

 DRの社長ジョンさんが来社。今後の打ち合わせ。その後、DRでも仕事をしたこともあるバロン班の伸さんと久しぶりの再開を果たすべく3スタへ。ところが韓国から来ている伸さんは当然としても、動画チェックの坂本氏、色指定の三笠氏とも顔見知り。う~んまさに世界は狭い。
9月6日(木)
 朝から恒例ジブリミーティング。夏休みもあけたが、「千と千尋」には大勢お客さんが来てくれているとの事とのこと。ありがたやありがたや。

 開館まじかの美術館は、映画製作と同じように、やっぱり遅れ気味らしい。その余波で、こちらにも仕事が回ってきそうな気配。
9月7日(金)
 制作斉藤君が新人制作の清川君に、QARの手ほどきを行う。地味だが意外と必要なスキルなので、免許皆伝まで精進して欲しい。

 同じく制作の清川君が外回りデビュー。その運転テクニックにさしも神村氏もドキドキしたとか。どんなテクニックだったかは恐ろしくてここには書けないが・・・。これも精進してもらおう。
9月8日(土)
 バロンのコンテがいよいよ大詰め。待ち構えたように外でお願いしている原画マンが飲み会にやってきた。なんとか今日中に出来るのか。

 ツール・ド・信州の準備に追われているが、なんと昨年同様、今年も予定コース上の韮崎市で当日お祭りが行われることが発覚。本当はなんとなくそんな気もしていたのだが、「今年は大丈夫だろう」とたかをくくっていたら高坂氏に心配され韮崎市に連絡、見事に発覚した次第。新たなルートを求めサポート担当神村氏が明日早朝に韮崎へ向かうことに。
9月10日(月)
 土曜日に「バロン」原画の児山さんが、2スタの前で息を殺して何かを見ている。視線の先には社員にもかわいがられている「うしこ」という近所の野良猫。臨戦態勢で鳩をじっと見ている。児山さんも同じようにその様子を、5分ほどじっと見ていたようだ。どうなるのかと見つづけたところ、普段ゴロゴロとしている「うしこ」が、敏捷に鳩に食らいつき、そのまま木陰へとお持ち帰りしてしまった。「猫ハル」スタッフもその場に駆けつけたのだが、「くちゃくちゃ」という音と、もぞもぞ動く「うしこ」の後姿が見えるばかり。普段ゴロゴロしていても、やはり野良猫。野生は、野生なのだ。

 「バロン」のコンテ作業がついに終了。現時点での総尺は64分51秒、944カットとなった。カットの増減が遡っていくつかあった事を考慮し、明日頭から計算を行う予定。しかし、おおよそのボリュームはこれでほぼ決定。
9月11日(火)
 雨のため、3スタ玄関の電子キーが作動しなくなる。それに追い討ちをかけるように台風のため、玄関前の柳の樹が倒れ、入り口そのものをふさいでしまう。せっかく色指定用のモニターが修理を終えて戻ってきたというのに・・・。しょうがないので樹の下を何とかくぐらせ搬入、PCに接続。ピントのボケは改善されており、ボード取り込みのチェックも再開できそう。
9月12日(水)
 朝の挨拶が「昨日寝た?」となってしまった。米国で起きた同時多発テロの衝撃は大きく、炎上し崩壊するビルの映像に多くの社員がショックを受けていた。

 締め切りは明日だというのに、研修生募集に応募がかなりの数来ている。今時点で200人以上。整理するだけでも一苦労である。
9月13日(木)
 今日は研修生募集の締切日。さまざまな要因が重なり、膨大な数の応募者が集まっている。結局総務だけでは処理しきれず、制作部も借り出され、夜遅くまで、コンピューターへの入力、書類のコピーに追われる。集計はまだ済んでいないが、袋の数からいって、700通位の応募が来ている模様。

 「バロン」演助の鶴岡氏が、コンテライカリール作成のため、ほぼ徹夜でQARに張り付きつづける。明日、古城氏がAVIDに取り込むため。
9月14日(金)
 「バロン」のライカリール作成のため、QARデータをAVID移す。しかし、データが重いため読み込むだけでも時間がかかり、今夜中かかるとのこと。つなげる作業は来週に持ち越されることになり、古城氏の休日出勤は回避された。
9月17日(月)
 新人制作の清川くんは、今日も研修生希望者の応募作品を整理している。作文も履歴書も版形が結構ばらばらのため、コピー機のソーターが使えず、手作業の日々が続いている。つらいだろうに。というわけで総計728通もの作文を読まなければいけない保田さん以下審査担当のスタッフは、仕事の合間をぬって必死に作文を読みつづけている。
9月18日(火)
 最近手にできものが出来たりしてついていない演助の中村氏が、昨日バスケよろしくゴミを捨てようとジャンプしたところ、あえなくぎっくり腰となる。というわけで本日お休み。
9月19日(水)
 最近社内では様々な取材が行われているが、そのスタッフの一人が、誤って3階の階段から転落。しかし数時間後、その本人が包帯ぐるぐるまきの状態で再登場、取材を再開。見ているこちらはその痛々しさと根性に、どきどきするやら、感心するやら。

 季節到来。制作部では、チョコエッグやら、ミウやらが散乱している。毎度の事ながらよく続くものだ。
9月20日(木)
 1スタ1階のバーを閉め切って、恒例の歯科検診が行われる。技術だけでなく、体が資本な職業だけに、社員はいつも真剣に受けている。しかし歯の磨き方は、いつも同じ所を注意されているような気がするのはなぜだろうか。今年こそはちゃんとしよう。

 「猫ハル」美監の田中氏、および色指定三笠氏らで、大挙してT2へ打ち合わせに行く。撮影後のBGの色の微妙な差は、各々のモニターの個体差ではないかという話になり、T2にて撮影したデータと、ジブリにて補正をかけたデータの2種をフィルムレコーディングすることに。
9月21日(金)
 制作の中で、業界では有名といわれている「伝説の進行」が話題となる。「夜BG持ってきて」といわれ、夜中にBGを持ってきた。ギリギリにアップしたBGを回収に来て、「雨降ってるけど大丈夫?」と背景さんにいわれ、「大丈夫です!」と目の前でBGを丁寧に四つ折にしてポケットに突っ込んだ。演出さんに「ここの車のシート(原・動画のタイミングが書いてあるタイムシート)持ってきて」といわれ、進行車のシートをむりやりはずして持ってきた。等々。経験の長い制作の人は、大体知っている話らしいのだがどこまでが本当でどこまでが尾ひれなのかは不明。

 某キャラクターの処理打ち合わせが行われる。
9月22日(土)
 神村、渡辺両氏が稲城大橋下までツール・ド・信州スタート地点の下見。昨年とは違い橋の下に住んでいる人がいるらしく、早朝からうるさくするのもなんなので、集合地点を橋の下ではなく、手前の草わらに変更する。
9月25日(火)
 夕方5時半より日本テレビの氏家会長のご好意により、「千と千尋ヒットおめでとうパーティー」が、1階バーと豚屋2ヶ所に分かれて行われる。赤プリのケータリングサービスという贅沢な夕食だったのだが、豚屋に来る予定だったムゼオのスタッフが開館前で忙しく、来られなかったため、ぎゅうぎゅう詰めの1スタに比べて豚屋は優雅なディナーのような感じとなる。それにしても美味かった。

 3スタ「バロン」班にも、ホワイトボードによるスケジュール表を設置する。
9月26日(水)
 大まかに「バロン」のスケジュールが決まりそうなのだが、それに合わせたように西尾さん、武内さん、あわせて9カットの原画が上がる。
9月27日(木)
 7時よりバーにて、ツール・ド・信州の説明会が行われる。サポートに参加する人も含め、半数近くが初参加者となるため、説明もより詳細に時間をかけて行われる。選手として参加する黒田硫黄氏も来社。

 社内中村氏、「バロン」作打ちを行う。
9月28日(金)
 2スタ前で、うしこが再び鳥を捕まえて食べている。今度は雀を捕まえたらしい。しかし相変わらず、野生の血が濃い猫である。

 会議室にて、来年の新人研修選考会が行われる。700通以上の書類の中から選考者それぞれが40名を選び、それをさらに14人に絞る。2時からはじめた選考だったが、終わったら外はもう真っ暗。