文档:吉卜力日誌/2000年9月

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2000年9月
2000年9月
9月1日(金)
 原画の○○さんが来社。10月頃から千の原画に入ってもらうことに。

 昨日より撮影部に新たなメンバー田村さんが加わる。因に下の名前は「あつし」で、漢字では違うのだが、ジブリ二人目のタムラアツシとなる。

 カメラマンの篠山紀信氏が雑誌の取材で来社。二スタの写真を撮っていた。
9月2日(土)
 9月に入ったというのに、昼間の温度が37度を記録。日なたのアスファルト道路などはさらにひどい。あまりの暑さに外へ出る気力も失せる。明日奥多摩へ自転車の練習に行く連中は大丈夫か?

 猛暑の中、絶妙のタイミングで高畑監督より梨が送られてくる。おいしく頂いた。

 原画の山下氏と○○氏が来社。すぐに作打ちに入る。

 来年度の研修生募集の締め切りが迫ってきたため、応募書類が山のように送られてくる。あまり貯めるとあとが大変なので一時審査用のコピーをはじめる。
9月4日(月)
 研修生作画部の募集は、今日で締め切り。200人近い応募が来てその整理に追われる。

 3スタ正面の壁塗り作業が終了し、ものものしかった足場も撤去され、お披露目となる。壁は明るいブルーの地に大きな実をつけた木と羽ばたく鳥が描かれ、周りを楽しい雰囲気に変えていた。ちなみに3スタ前庭の電柱にも、宮崎監督とムゼオのスタッフが蛙を描いていて、そばの柳の枝めがけて跳ねていた。
9月5日(火)
 朝から夕方にかけて歯科検診がバーにて行われる。日ごろちゃんと歯磨きをしてないために虫歯を宣告された人、顕微鏡で自分の歯垢を見せられた人、歯石を取られた人などが続出。正しいブラッシングの仕方や歯間ブラシを使った磨き方の指導も受ける。それにしても、大口を開けたまま返事をするのはやはり意味無く恥ずかしい。

 先月分の社内動画スタッフの上がりを集計していた神村氏、一部の人を除き、あまりに数字が悪いので愕然とする。危機感を感じ、「千と千尋の神隠し」が始まってからの一覧表を作り、対策を考えていた。

 午後から会議室にてCパートの処理打ちあわせが行われる。
9月6日(水)
 瀬山武司氏が来社し、編集の作業方法について宮崎監督と打ち合わせをする。今回はコンテからライカリールをアビット上で作り、早いうちから作業を行うことに決定。

 倉庫から動画机を出してくる。たしか先週入れたばかりのような気もするが・・・。一部破損していたため修復しないといけない。上に乗った不届き者がいるのか? しかし、直せば直すほどほころびが出るため難渋する。

 ツール・ド・信州に向け週に二度、朝の5時から鋸山へトレーニングに行っている野崎氏が、負荷をかけすぎて○万円のホイールを壊してしまう。行きつけの自転車屋のおやじがオリンピックのメカニックでいないため、杉並方面への仕事ついでに某フ○○○商会へ修理の依頼に行ったところ、「うちで買っていない自転車の修理は・・・」と断られたという。当然野崎氏はカンカン。こんな店屋が今でもあるのか。因みにいつもジブリスタッフが行っている自転車屋さんを紹介したら快く引き受けてくれたそうだ。
9月7日(木)
 原画の大城さん来社。作打ちを行う。

 巨大な歯車を描くため、作画用テンプレートを探すことになったのだが、径が大きすぎるので見つからない。コンパスを使うことも考えたが、作画用紙に穴を開けるわけにもいかないため、手製で作ることになる。
9月8日(金)
 筋ジストロフィを患い車イスに乗っているフランスの青年ラフィック・カリ君がお医者さんと共にジブリ見学に訪れる。社内を見学し、宮崎監督とも話しをして、非常に喜んでくれた様子で帰ろうとした時のこと。階段を使わずホームに入れるとなりの武蔵境駅までスパシオで送って行ったのだが、特殊な車イス(100キロ以上ある)のため、なるべく改札の近くにと一般車両進入禁止(バスは入れる)の場所に車を止め、駅前の交番に一声かけて彼を降ろしていたら、後ろに停車していた3~4台の西武バスと関東バスの運転手が順番にクラクションを鳴らしまくり「どけ」と意思表示をしてきた。警官が「まあまて」と声をかけても更にクラクションを鳴らし続ける。そりゃ正確に言えば進入禁止の場所に車を入れた私等が悪いのかもしれないが、何をしているかは分かるはず。もうちょっと融通きかせてくれないものか。最後に、せっかく来てくれた彼に不快な思いをさせてしまったことを反省。

 作画研修生の第一次選考を行う。結局254名の応募のうち、9名が一次選考を通過。来月上旬に二次選考の実技試験を行う予定。
9月9日(土)
 作監上がりを改めてチェック。背景上がりと作監上がりのマッチングが余りよくないため、その後の作業の流れに支障をきたしていることが発覚。どういう形で動画を流すべきかをスタッフ間で少し話し合いを持つ。

 夜になって原画が集中して上がってくる。猛暑が去ったからなのか、あるいは単に週末なので勢いがついたからなのか。ともかく、ペース維持を祈るばかり。
9月11日(月)
 朝から大雨。傘をさしていたのにびしょ濡れになって出勤した人が多い。

 「千と千尋」の全体スケジュールをもう一度洗い直す。現在1300カット、110分を予定しているが、かなり遅れている。全体の尺が伸びることはよくあるが、縮まることはまれなので、早く対策をとらないと大変なことになってしまう。Cパートの展開を見るかぎり、Dパートはかなり厚くなりそうだ。しかしながら、対策をたてるにもまずコンテありきなのがつらいところ。宮崎監督が今月どこまでコンテを進められるかで状況もかなり変わるかもしれない。
9月12日(火)
 今朝の大雨は昨日よりすごかった。中央線のダイヤが乱れ、遅刻する者もいた。

 11時から社内定例ミーティングが行われる。

 社員旅行のパンフレットに、カラーページを入れてはどうかという案が出る。しかし一枚あたりの単価が5倍になり、総部数を考えるとさらに経費が上がるため、あえなく断念。それでもやはり基本は「美しく」で作られる予定なので、完成が楽しみだ。

 宮崎監督からDパートのプロットがメインスタッフに配られる。これで映画の結末までのストーリーが一応見えたわけだが、また話が変わるのではないかとか、この内容で本当に残りの尺に収まるのだろうかと冷たいリアクションをするスタッフも。
9月13日(水)
 長く倉庫に眠っていた「もののけ姫」の原画を整理と保存のため調布の倉庫へと運ぶ。その数ダンボール箱30以上。車3台がかりの移動となった。

 ムゼオが二馬力から武蔵境の事務所に移ることになり、お別れのパーティが二馬力で行われる。ジブリにも料理のお裾分けが届けられた。
9月14日(木)
 音響の若林さん、井上さんが来社し、「千と千尋」音響スケジュールの打ち合わせを行う。どんなに細かくシミュレーションを行っても、アップまではどう転ぶか分からないという状況なのだが、薄氷を踏む心持ちを失わずやるしかない。

 制作・神村氏は、苦しげな汗を流しながら参加していた。

 「千と千尋」第二回キャスト選考会が行われる。難航が予想されたが、宮崎監督がオーディションテープを聞いたとたん「これだ!」の一声が出るという意外な展開を見せた。

 東大教授にして「路上観察学」提唱者・藤森照信氏の講演会が試写室で行われる。屋根にタンポポが生えた「タンポポハウス」や赤瀬川原平邸「ニラハウス」などのユニークな建築プロジェクトの話で大いに沸いた。
9月16日(土)
 12時より試写室にて、「千と千尋の神隠し」初のプロジェクター・ラッシュチェックを行う。今回は計38カットを上映。終了後30分程打ち合わせし、リテーク出しが行われた。ところで、初のラッシュチェックで各部署「どんな映像になっているのか」と緊張感に満ちあふれていたが、よりによってこんな日に演助の一人が風邪で休み、もう一人が遅刻出勤。一時大騒ぎとなる。緊張感無さ過ぎ。

 昨日書き忘れたが、原画○下さんが16カット作打ち。
9月18日(月)
 美術研修生及び、仕上げ研修生選考の事前チェックを行う。

 22日に行われる防災訓練に備え、総務が中心となり、新人を集めて薪割りを行う。炊き出しのためにそれなりの準備があるのは聞いていたが、薪割りから始めるとは。
9月19日(火)
 制作管理部門の新人募集に送られてきた履歴書をコピーし、選考会に備える。今回の応募数は155人。全然来ないのでは、という不安はどこへやら。期待が高まる。どんな仕事も嫌がらず、気配りが出来て体力があって…ああ、理想を言えばきりがない。
9月20日(水)
 「千と千尋」のプロジェクターラッシュを行う。今回は22カット。

 一階バーに入ると、なぜか目が痛い。「ついにジブリにも異臭事件か?」と思ったら、明日の防災訓練で行う炊き出しのため、大量の玉ねぎを含む野菜を切っていた。

 徳間社長死去が社員に伝えられる。
9月21日(木)
 カラーコピーのサーバーが故障。修理が終わるまで、替わりのサーバーでしのぐことになる。プリンターとしてもずっと調子が良くなかったので、入院を機にまともになってくれるとよいのだが。
9月22日(金)
 防災訓練にかこつけた炊き出し・・・もとい、炊き出しもある、防災訓練を行う。消防隊の方に来ていただき、消火器の使い方を中心にレクチャーを受けた。その後昼食をかねて、お待ちかねの炊き出し。メニューは、カレーに豚汁、雑炊という正しいキャンプ料理でした。
9月25日(月)
 米良さんのベストアルバムのジャケットを山本二三さんにお願いすることになり、稲城、神村が飯能の自宅に御邪魔する。
9月26日(火)
・入籍はしているものの、結婚式をしていなかった居村氏が来月に式を挙げることになっているが、奥さんが結婚式のカツラ合わせに出かけるため、居村氏が娘をつれてジブリに出社。あまりにかわいらしかったので瞬く間に人だかりが出来るが、はじめて見る集団にあっという間に泣き始める。また泣き顔がかわいい・・・。
9月27日(水)
 宮崎さん、鈴木さんが出席して社長お別れ会の打ち合わせが徳間書店で行われる。
9月28日(木)
 玄関にあるトトロの置物の上に徳間社長の遺影が飾られる。それを見た宮崎監督が居村氏に「社長の遺影に花輪を飾るように」との命令を下す。さっそく注文。

 14日に打ちあわせをした○○さんが、17カット分のラフレイアウトを一気に上げる。神村氏は○○さんの家の方角に向って「ありがたやありがたや」とお祈りをしていた。
9月29日(金)
 夜8時半から、ジブリのツール・ド・信州参加者が集まり打ちあわせが行われる。今年も井上氏が主体となり完ぺきなサポート体制が出来ている。これで選手も安心して走ることが出来そうだ。

 神村氏が、日曜日に予定されている来年度の作画部門実技試験の準備に追われている。今年の受験者は9人。

 10月からk坂氏が社内に入るため、未組立の動画机を仕上げる。大工の腕にはとても及ばず、悪戦苦闘の大仕事となる。