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夜明け、魂が最も肉体から離れるとき。
地上をさす光と天井にともる星のイルミネーション。
やがて希望の光が地上を覆い現実の世界が白日のもとに晒される。
そして人々はそれから目を背ける。
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黎明時分,靈魂最遠離肉體。
地上閃耀的光芒與天花板上點亮的星光。
不久,希望之光覆蓋大地,現實世界暴露在白晝之下。
而人們卻選擇背過身去。
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あの娘が死んだ。ディンドンとベルが鳴りオレは叩き起こされた。
刑事は疑っている。アリバイ? そんなものはない。
何も覚えてないんだ、何も・・・。
でもオレはやってない、がやってない証拠もない。記憶にないっていうことは・・・
とにかく-あの娘は死んだ。
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那個女孩死了。鐘聲和鈴聲響起,我被驚醒了。
警察在懷疑我。不在場證明?我沒有。
我什麼都不記得了,什麼都不記得……
但我沒有做,也沒有證據證明我沒做。沒有記憶意味著……
總之——那個女孩死了。
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山賊は惚れた、女があまりに美しすぎて。やがて自分を失う。
7人の妻を殺し、京に上り毎夜女の為に首を取る。 (坂口安吾「桜の森の満開の下」より)
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山賊愛上了她,因為那女子太過美麗。漸漸地,他迷失了自我。
他殺死了七個妻子,上京後每夜都為那女子取人性命。(摘自坂口安吾《櫻之森之滿開之下》)
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その日、僕はテイトギャラリーにある「HOPE」の前に立った。1886年、WATTSが描いたそれはいつもと変わりなく僕を迎える。
地球に座った目の不自由な天女「HOPE」が奏でる音楽を聞きたいと君はいった。
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那天,我站在泰特美術館的《希望》前。1886年,瓦茨創作的這幅畫一如既往地迎接我。
你說想聽那位坐在地球上的盲眼天女「希望」所奏的音樂。
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時々砂漠の夢を見る。
都会の(夜も更けた頃)汚れた歩道を歩いているとそれが果てしなく続き、やがては砂漠に辿り着く。
そして僕は口ずさんでいる。
金と銀の鞍をつけたラクダはすでに死に、焼けた砂を踏みしめながらゆっくり僕は歩く。
蜃気楼の地平線をめざして。
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有時會夢見沙漠。
在城市的(夜深人靜時)走在污濁的人行道上,那道路仿佛沒有盡頭,最終卻抵達了沙漠。
而我輕聲哼唱著。
那匹馱著金銀鞍的駱駝早已死去,我踩著灼熱的沙子,緩緩前行。
朝著海市蜃樓的地平線。
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サウスイーストの季節風にのって君は現れた。
運命的な出会いは案外さりげなくやってくる。仄かな潮の香りが肌から立ち昇る。
忘れていた熱い情熱が蘇る。
いつか終わりが来て、けだるい孤独だけが残ることを僕は知っている。
でも賭けてみようか?
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乘著東南的季風,你出現了。
命運般的相遇,意外地平淡無奇。淡淡的潮香從肌膚上升起。
被遺忘的熱情重新甦醒。
我知道終有一天會結束,只剩下慵懶的孤獨。
但要不要賭一把呢?
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ざくろの実が割れたものをじっと見たことがありますか?
すごく鄙猥でいかがわしくて何だか吸い込まれそうで、まるで地獄だ。
その真っ赤な血のような汁の海に人間がのたうち回っている。芥川風に一本の糸が垂れて人々がそれに飛び付く。
それを遥か彼方の上空からたのしそうに見ている天使たち。笑顔の中の瞳は何の感情も浮かんではいない。
そこが世界の始まりかも知れない。
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你曾仔細看過裂開的石榴果實嗎?
它顯得極其猥褻而可疑,仿佛要將人吸入其中,宛如地獄一般。
在那如鮮血般赤紅的汁液海洋中,人類痛苦地翻滾著。芥川筆下,一根細線垂下,人們爭相撲向它。
而天使們則從遙遠的高空愉悅地觀看著這一切。他們笑容中的眼眸,卻未流露出任何情感。
那裡,或許正是世界的起源。
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8. THE WALTZ (For World’s End)
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「ねえ、一緒に逃げようよ。どこまでもさー、この世の果てまで、なんか追われるって素敵だよね。
そしたら俺達もう一度やり直せるかもしれない。二人しかいないんだ、他にはなにもない、物音一つしない・・・。
ねえ、踊ろうよそこでタンゴを。何なら・・・ワルツだっていいんだ、君さえよかったら」
タキシードの僕は一人で踊った、砂の上で・・・・。
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「喂,一起逃走吧。無論到哪裡,直到世界的盡頭,被追逐的感覺不是很棒嗎?
那樣的話,我們或許可以重新開始。只有我們兩個人,除此之外什麼都沒有,連一點聲音都沒有……
喂,在那裡跳探戈吧。或者……華爾茲也行,只要你願意。」
穿著燕尾服的我獨自在沙地上跳著舞……
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ミルトンの失楽園は何を問いかけているのか? サタンは最も人間的な存在なのか?
東洋の阿修羅、西洋のサタン、伝説は人の心の裏返し。
「すべてはサタンの誘惑から始まった」
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彌爾頓的《失樂園》提出了什麼問題?撒旦是最具人性的存在嗎?
東方的阿修羅,西方的撒旦,傳說都是人心的倒影。
「一切都始於撒旦的誘惑」
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迷宮への誘い(いざない)。
死-それは一つの終わりであって始まりでもある。
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迷宮的邀請。
死亡——那既是一個終點,也是一個起點。
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喜びは次に来る悲しみを産み、怒りは自己嫌悪を産む。
哀しみはいつまでも心の片隅に残り、楽しみは突然襲ってくる空しさを産む。
そのすべてから解き放たれたとき、魂は浄化され人間は初めて自由を得る。
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喜悅孕育著即將到來的悲傷,憤怒催生自我厭惡。
悲傷永遠殘留在心靈的角落,歡樂則帶來突如其來的空虛。
當從這一切中解脫時,靈魂得以淨化,人類才真正獲得自由。
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永遠の罪を背負って砂漠を旅するアダムとイヴ。
ただひたすら、ラクダに揺られて・・・。
(僕は歩く、魂の砂漠を。たった一人で・・・・。)
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背負著永恆的罪,亞當和夏娃在沙漠中旅行。
只是單純地,被駱駝搖晃著……
(我行走在靈魂的沙漠中。獨自一人……。)
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11. ぴあの (English Version)
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そこには音楽があった。
こわれたおもちゃのピアノ。
ソの音は低く、シの音は限りなくドに近い。
でもそこには音楽があった。やさしく哀しく、
そして、温もりをもって・・・。
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那裡有音樂。
壞掉的玩具鋼琴。
So音低沉,Si音無限接近Do。
但那裡有音樂。溫柔而悲傷,
並且,帶著溫暖……。
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